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賢者の書の要約とネタバレ・あらすじ・感想~自己啓発っぽくない内容で面白い~

「賢者の書」のあらすじやネタバレ有の感想、要約などをまとめました。

9人の賢者が1つ1つ教えを説いていくスタイルの自己啓発本ですが、一般的な自己啓発本のイメージとは異なり、すんなり受け入れやすい表現が多いと感じました。

読み終えた後に、猛烈にやる気がみなぎるようなことはなかったので、その辺も自己啓発本らしくないと思います。(自己啓発本は、短期的にやる気を高める者がほとんどですので)

考えさせられる内容も多く読みやすい本ですので、気になる方にはぜひ手に取っていただきたいです。

この記事のポイント
・賢者の書のあらすじが分かる
・要約やみどころが整理されている
・大手サイトの評価が分かる
・ネタバレ有の感想を楽しめる

目次

賢者の書のネタバレなしのあらすじや見どころ

まずは賢者の書の基本情報を確認していきましょう。ネタバレを極力抑えてあらすじや見どころも言及していきます。

  • あらすじ
  • みどころは賢者の語る物語
  • 主な登場人物は2人
  • レビュー
  • 発刊年・作者・出版社・ページ数

あらすじ

賢者の書は、賢者の書を作る少年と人生に疲れた男性の物語です。

ある日、おじいさんから賢者の書という何も書かれていない不思議な本を受け取った少年は、賢者の書を完成させる旅に出かけます。

その本は少年が体験したことや感じたことが記録として記される仕組みになっており、賢者と出会い、その話を聞くことで、少しずつ文章が浮かび上がってきます。総勢9名の賢者の話を聞くために、少年は世界中を旅します。

賢者の書が完成目前となったころ、公園の一角で少年と男性は出会います。

不思議な少年と出会った男性は、少年が持っている賢者の書に興味を持ち、読ませてもらえないか?と頼みます。少年は最後の賢者に会うためにその公園にやってきましたが、少し早く到着したためその願いを聞き入れ、男性の本を渡します。

私たちはその男性の視点で賢者の書に記載されている内容や物語を追体験していきます。

みどころは賢者の語る物語

そのままではありますが、賢者の話はとても面白く改めて考えさせられることも多くありました。

通常の自己啓発本では、聞いたことがあるような話や他の本で語られていた話を言い換えただけと感じることが多いのではないでしょうか?

特に近年はSNSやYOUTUBEなどの発展で、良いとされる考え方や偉人の生涯などに気軽にアクセスでき、自己啓発本で初めて見聞きするような情報はほとんどないと思います。

賢者の書でも似たような話がでてくることは変わりませんが、そこからの深掘りが素晴らしいものになっています。

この考え方が正しい、こうあるべきだという押しつけがましい話ではなく、その考え方についてフラットな気持ちで考えてみようというスタンスになっているため、新しい価値観や気付きを得るきっかけになるかもしれません。

そのため、一時的にモチベーションを高めるようなタイプの自己啓発本とは一線を画しているように思います。

賢者の話は章の終わりに1ページでまとめられていますので、各章のまとめだけ目を通してみるのもいいかもしれません。

主な登場人物は2人

サイード

サイードは、素直で前向きな性格の14歳の少年です。

14歳になる誕生日におじいさんから賢者の書を受け取ります。9つのピースをはめ込むことで賢者の書となるその本を完成させ、自身も賢者となるための旅に出かけます。

アレックス

アレックスは2人の子供と妻の4人で暮らす、普通のサラリーマンです。

社長の代替わりで会社での居場所がなくなり、子供たちとの会話はあまりなく、奥さんとの関係も冷めており、うだつの上がらない日々を過ごしています。

ある日、自分と向き合うために14歳から3年間住んでいた街を訪れます。

9人の賢者

賢者は世界各地に散らばっています。

1人1つのピースを持っており、サイードが賢者の話を理解できたと判断するとピースを渡します。

レビュー

2024年11月17日時点のレビューは次のようになっています。

Amazon:4.5(レビュー数4,170)
ブックライブ:4.3(レビュー数34)
読書メーター:レビュー数572

Xの口コミもいくつか抜粋してみます。全体的に高評価が多いのはもちろん、読みやすい・納得という評価が多い印象です。

発刊年・作者・出版社・ページ数

発刊年2009年(新装版の前は2005年)
作者喜多川 泰
ページ数224ページ
出版社ディスカヴァー

賢者の書はAmazonで購入できます。

出典:Amazon

賢者の書のネタバレありの要約と感想

ここからは、ネタバレしながら賢者の書の要約や感想をご紹介していきます。

自己啓発系の本であり、割と序盤で物語の着地は見えるため、ネタバレを見た上で本を読んでも問題ありませんが、気になる方は先に読むことをおすすめします。

・賢者の書の要約とネタバレ
・感想

賢者の書の要約

賢者の書には次の11個の教えが記載されています。

1.良い結果も悪い結果も今必要なもの
2.人間の可能性は無限大である
3.自尊心と他尊心の高さと両立を
4.何にではなくどんな人間になるかが大事
5.伝記を作るつもりで今の行動を重視する
6.必ず帰ってくる投資は時間の投資
7.自分ではなく他人の幸せのために動く
8.口に出すものだけでなく頭の中で使う言葉を大切に
9.感謝の気持ちを忘れない
10.もらうのではなく与える気持ちで考える
11.人はいつでも生まれ変わることができる

こうまとめてしまうと少し安っぽく、空虚な感じになってしまいますが、要約するとこのような内容になっています。

さらにまとめると次のようにいえるでしょう。1~11は連なっており、円を描くように11→1に戻ってくるような関係になっています。

1と2が結果や行動への考え方
3と4が自分や他人との向き合い方
5と6が目標への頑張り方
7と8が日々の過ごし方
9~11が今との向き合い方

それぞれの教えについてもう少し深掘りしていきます。

1.良い結果も悪い結果も今必要なもの

“行動の結果として我々が手に入れるものは、成功でもなければ、失敗でもない”
“我々が手にするものは、一枚の絵を完成させるために必要不可欠な、パズルのひとピースにすぎない”

これが1人目の賢者でありサイードのおじいさんから教わる、賢者の書の基本であり最も根本となる考え方です。物語の中では、実際に家に飾ってある1万ピースのパズルを使って説明されます。

1万ピースの中には、ひとピースでどのような絵かイメージできるものと、まったくイメージができないものがあります。しかし、すべてのピースがパズルを完成させるために必要不可欠なものです。

行動して得られる結果はこのパズルのピースに似ており、得られた瞬間に価値を創造できるものと、一見すると無意味に感じられるもの、場合によっては不必要だと感じるものもあります。

しかし、大きな絵(夢や目標)を完成させるにはすべてが必要であり、捨ててしまうとまた同じピースを手にする機会が訪れる(同じミスをする)ため大切にすべき、と伝えられます。

2.人間の可能性は無限大である

“人間には無限の可能性がある”

2人目の賢者からは「大いなる力=宇宙の力=心の力」と教えてもらえます。

賢者の書において大いなる力とは創造主の力とされており、この宇宙を創造した大いなる力が1つ目の教えであるピースも与えてくれると考えられています。

人間の心は大いなる力と同じ力を持っており、その証拠にこれまで人類はさまざまな発見・発展を積み重ねてきました。

これは物語でいう賢者、現実でいう偉人といった一部の限られた人の話ではなく、すべての人が心という大いなる力と同じ力を持っていると伝えられます。

3.自尊心と他尊心の高さと両立を

“自分がかけがえのない存在であり、無限の可能性を持った唯一無二の存在であると、絶えず自らに言い聞かせる必要がある”
“自尊心と同じ高さにまで、他尊心も高めている必要がある”

3人目の賢者からは、自分自身の可能性を信じ存在そのものが尊いものである教えてもらえます。ここで勘違いしてはいけないことは、自分だけが特別だと考えてしまうことです。

確かに自分は特別で何物にも代えられない価値と無限の可能性を秘めていますが、それは他者も全く同じです。

自信を持ち自尊心を高めていくことはとても大切ですが、それだけでは傲慢になりかねません。他者にも自身と同じ価値があると思える、他尊心ともいえる思いを自尊心と同じ高さにし、自尊心と他尊心を等しく高めていくことが大切、と語られます。

4.何にではなくどんな人間になるかが大事

“これになれたら成功、幸せなどという職業は存在しない”
“成功は職業についてくるものではなく、人についてくるものだからだ”

4人目の賢者からは、どんな人間になるのか、どんな人間を目指していくのかを考えることを忘れてはならないと教えてもらえます。

階級制がなくなり職業選択の自由が保障された現代では、どんな職業であってもそのほとんどを目指すことが許され、条件を満たせばその職業で働くことができます。

そのため、どんな職業に就けば幸せか?成功か?を考えて職業ばかり考えてしまう人が多くなっています。

しかし職業は手段でしかなく、どんな自分でありたいか、理想の自分を実現するためにはどうすべきか、を考え模索しながら進んでいくことが成功に欠かせない、と語られます。

5.伝記を作るつもりで今の行動を重視する

“今何を持っているいないに関係なく、今日一日、成功者としてふさわしい過ごし方をするだけだ”

5人目の賢者からは、成功者の共通点として日々の過ごし方を教えてもらえます。

成功者の伝記を読むと、こういう経験をしたから後の成功につながるのか、こんな日々を過ごしていたら成功するに違いない、と思わせることがよくあります。

これが成功者の共通項であり、欠かせない要素といえます。

つまり、生まれや時代、持たざるものか、恵まれているのか、など後の成功者を取り巻く環境要因は千差万別であり、成功するかどうかにほとんど影響しません。

日々、今という時間を振り返った時、成功すると確信できるような毎日を過ごすことができれば、気づいた時には成功しているものだ、と伝えられます。

6.必ず帰ってくる投資は時間の投資

“無一文からスタートして巨万の富を築き上げている。彼らは皆、投資をしたからこそ成功を手にすることができたのだ”
“自らの人生という貴重な財産を、時間という財産を投資したのだ”

6人の賢者からは、時間を投資することの大切さを教わります。

世の中一般に言われる投資のほとんどはギャンブルであり、確実に100%の確率で利益をもたらすものはありません。しかし、時間を投資しお金以外のもののため、なりたい自分になるために時間を使うことは確実に自分に帰ってきます。

これは1人目の賢者のいうピースであり、得られる結果が一見分かりにくいものや、臨んだものと違うこともあるが、1枚の絵を作るために必要なピースを確実に得られる、と伝えられます。

7.自分ではなく他人の幸せのために動く

人間は何を探して生きるかという点において、二つに大別される
ひとつは、自分を幸せにすることを探す人々
もうひとつは、他人を幸せにすることを探す人々

7人目の賢者からは、他人を幸せにすることの重要性を教えてもらえます。

他人を幸せにすることを考えて行動する人は、同じように他人を幸せにすることを考えている人と人間関係を構築していくことになります。

自分の幸せを中心に考えて行動してしまう集団では、自身を幸せにする人は自分一人しかいませんが、他人を幸せにすることを考えている集団では、自分以外のすべての人が自分を幸せにしてくれます。

そして、他人を幸せにすることを考えて行動していると、多くの人に望まれる価値提供ができる人になることができる、と伝えられます。

8.口に出すものだけでなく頭の中で使う言葉を大切に

人生は、言葉によってつくられている
その人に起こるすべての出来事は、その人が発したり、心の中で思い描いたりする言葉に起因する当然の結果に過ぎない

8人目の賢者からは言葉の重要性を教えてもらえます。

これまでの教えは、日々の行動やそこから得られる結果についてのものが中心となっていましたが、それらの行動の出発点は自身が発する言葉や心の中で思い浮かべる言葉が起点となっています。

どうせうまくいかない、環境が悪い、という種の言葉を使っていると、どんなに頑張っても良い結果が訪れることはなく、人は言葉によってつくられているといっても過言ではありません。

行動だけでなく、使う言葉も成功者や大いなる成功の道中にいる者として相応しいものにすることが大事、と語られます。

9.感謝の気持ちを忘れない

9~11個目の教えは9人目の賢者の教えです。

アレックスがサイードから借りた賢者の書を通して8人の賢者の教えを知り、学び気づいたことで9人目の賢者となります。

そのため、これまでと違いアレックスの気づきが教えとして3つ続きます。

“とにかく感謝の言葉を多く口にする毎日を送らなければならない”
“人は誰一人として、一人で生きてゆくことはできない”

これは賢者の書を読ませてもらった感謝を、自身の至らなさに気づかせてくれた感謝をサイードにするシーンで学ぶことができます。

純粋にすべてに対して感謝を述べられるアレックスの人となりから、気付きを得ることができます。

10.もらうのではなく与える気持ちで考える

“人生において欲しいものを手に入れるためには、手に入れたいと思うものを与える側にならなくてはならない。

賢者の書はもともと、9人目の賢者に賢者の書を渡すことで完成すると1人目の賢者であるおじいさんから聞いていましたが、賢者の書を心底必要とする9人目の賢者に譲り渡すことで、賢者の書で得たかった賢者としての基礎を手にできます。

サイードが賢者の書をアレックスにプレゼントすることで、得られる気づきです。

11.人はいつでも生まれ変わることができる

“人間は何度だって生まれ変わることができる”
“昨日までの愚者は、今日、賢者として新しい誕生を迎える可能性を持っている”

うだつの上がらない日々を過ごしていたアレックスが、賢者の書を素直な心で読み、視界が開けたことで得られる学びです。

これまで手にしてきたピースは必要なものであり、捨ててきたピースは行動すれば再び手にすることができます。大いなる力はすべての人に備わっている、という本書のテーマに沿った終わりとなっています。

感想は「考えさせられる」につきる

改めて賢者の書について振り返ってきましたが、やはり考えさせられる内容だと思いました。

1つめの教えである「行動して得られる結果は、一枚の絵を完成させるために必要なパズルのペースである」という話は、近しい言葉として次のようなものが思い浮かびます。

・神様は乗り越えられる試練しか与えない
・止まない雨はない、明けない夜はない
・すべてのことには意味がある

個人的にはこの「パズルのピース」という設定が抜群に良かったと思います。同じような言葉で腑に落ちないと感じていたものも、パズルのピースと言われると納得できる感覚がありました。

1ピースだと何を表しているのか、どこで使うのか全く分からない、という感覚はパズルをやったことがある人であればすぐに理解でき、すべての結果に意味があるという話をすんなり受け入れやすくなるのではないでしょうか?

また、パズルのピースを受け取らず捨ててしまうと、絵を完成させるために必要なピースであるため大いなる力が何度も渡してくれる、と解釈することで、何もしないと状況が改善することはなく、同じような失敗を繰り返してしまうと暗に示しています。

この前提があるからこそ、そのほかのすべての教えに説得力が生まれ、行動してみようという気持ちにさせてくれると思います。

ちなみに、賢者の書を通して今の自分に最も刺さった教えは他尊心でした。もしかすると、他人を幸せにすることを考えて行動するという話の方が感情と一致する割合は高いかもしれませんが、言葉として、教えとして心に残ったのは他尊心です。

何かに一生懸命取り組む際、どうしても自分中心に物事を考えてしまいがちです。自分と同じ価値が他人にもあり、自己肯定感と同じ分の他者も肯定することが人生を充実させる秘訣の一つだと思え、腑に落ちました。

賢者の書の総括:おすすめ度★★★★☆

「賢者の書」はとてもおすすめですが、自己啓発本でもあるため星は4つにしました。

初めて自己啓発本を読む方には文句なしの星5つであり、文体や文字サイズも読みやすくサクサク読み進めることができますが、本の特性上、穿った見方をしないような心理状態のときでないとおすすめはできません。

これは自己啓発本全体にいえることですので、賢者の書に限った話ではありません。どんなに良いことが書いてあったとしても、素直に受け取れる状態でないとなかなか学びは得られないので、仕方ない部分ではあります。

ただ、僕が評価する自己啓発本のほぼすべてが星1~3ですので、賢者の書は本当におすすめです。

出典:Amazon
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この記事を書いた人

僕が気になって読んだ・見た作品のあらすじや感想をネタバレ有で紹介していきます。完全なインドア派で、暇があればいろんな作品を見たり読んだりしています。

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