今回は『キングダム』73巻の感想や考察を、あらすじや見どころを整理しながらご紹介していきます。
73巻では番吾(ばんご)の戦いが終結し、新たな物語が動き出します。
相変わらずとても面白いので、未読の方にはぜひ読んでいただきたいです!(1巻から常に面白く最新刊をいつも心待ちにしています!!)
前半では、72巻までの内容を整理したり、73巻のあらすじや見どころをご紹介していくので、ネタバレNG/OK両方の方に楽しんでいただけると思います。
後半の方では、収録されている各話を振り返りながら73巻の感想や考察をまとめているので、ある程度ネタバレが含まれてしまいます。お気を付けください。
- 73巻のあらすじやみどころをネタバレなしで知れる
- 73巻の登場人物について整理されている
- 全体だけでなく各話の感想や考察を読める
- 発売日やページ数など1巻の掲載情報が分かる

キングダム73巻のあらすじ・登場人物・見どころ
前巻までの内容を振り返り、あらすじや登場人物を整理したうえで、73巻の見どころをご紹介していきます。この巻は何といっても王翦軍の武将のカッコよさが魅力です。
- これまでの振り返り
- 73巻のあらすじ
- 主な登場人物
- 王翦軍のカッコよさを見せつけられる
これまでの振り返り
右翼を任された飛信隊。隊長である李信(りしん)の突撃命令で始まった番吾の戦い。左翼を任された楊端和(ようたんわ)も信軍に呼応するように突撃を開始する中、中央軍は不気味な膠着状態にあった。
満を持して動き出した亜光(あこう)軍の右前方の林の中、突如として李牧(りぼく)が現れる。釣りだと分かった上で、この機を逃さぬよう突撃する亜光軍。右翼の信軍も連動し、あと一方のところまで追い詰めるも、李牧が用意した土塁の砦から逃走を許してしまう。
次に動き出したのは趙(ちょう)軍中央を任された青歌(せいか)軍。秦(しん)中央に布陣した王翦(おうせん)軍が迎え撃つも想像以上の武を持つ青歌軍を前に、常に後手の展開が続く。そんな中、とどめを刺すため青歌軍大将の司馬尚(しばしょう)は、王翦めがけて進軍を開始。
王翦軍の亜光・田里弥(でんりみ)・倉央(そうおう)、玉鳳(ぎょくほう)隊の関常(かんじょう)は、必死に後を追いかける。倉央軍副官である糸凌(しりょう)は、青歌軍第一将カン・サロ、第三将ジ・アガの足止めを試みる。激闘の末ジ・アガを倒すも力尽きてしまう。
王翦将軍の元に辿り着いた亜光と倉央。ここから司馬尚を討つというところで、カン・サロと楽彰(がくしょう)も司馬尚の元に辿り着き、第三将倉央の頭に敗走がよぎる。
73巻のあらすじ
ジ・アガの死を聞いた司馬尚は李牧が青歌を訪れた日を思い出す。李牧が青歌の民を説得したことで、秦(しん)との戦争に参加することになった、それ故にジ・アガを失ってしまったと責任を感じる。
弔う意味でも負けられないと士気が高まる青歌軍。以前ピンチが続く中、逆転の一手はあるのか、敗走してしまうのか、緊迫した状況が続く。
番吾の戦いが決着した後。秦では中華統一に向けた新たな準備を始めることになる。
主な登場人物
秦軍
・王翦(おうせん)
秦の六大将軍第三将を任される大将軍。かつて一度も負けたことがなく、勝つ戦しかしないことで知られている。その知略や野望で、数多くの部下に慕われている。
・亜光(あこう)
王翦軍の第一将。王翦軍の中で最も屈強と称される軍を率いる。
・田里弥(でんりみ)
王翦軍の第三将。王翦軍の中で最も知略に優れた武将。役割の都合上、最後尾にいることが多いが、もともとは王翦軍きっての武闘派。
・倉央(そうおう)
王翦軍の第四将。王翦軍の中で最も情に厚い武将。攻撃が大得意であり、田里弥から守備も学ぶようしばしば注意を受ける。
・糸凌(しりょう)
倉央軍の副官。王翦への忠誠はもちろんあるが、それ以上に倉央に忠義を尽くしており、ジ・アガを止めるため瀕死の重傷を負う。
・亜花錦(あかきん)
元王翦軍で、現在は玉鳳(ぎょくほう)軍に属している。現在は三千人将で軍才は王翦軍の中にいた時もトップクラスと評されていた。
・壁(へき)
宜安(ぎあん)の戦いで捉えられた秦の将軍。信とも古くから交流がある。
・キタリ
楊端和軍の一人でメラ族の族長。将軍ではないが、部族単位で編成されている楊端和軍においては将軍に近しい存在。壁を助け出したいと考えている。
青歌軍
・司馬尚(しばしょう)
青歌軍の総大将。圧倒的な武を持ち、青歌の民全てに慕われている城主。
・カン・サロ
青歌軍の第一将。ジ・アガとは狼血(ろうけつ)の契りを交わしており、生涯の友として死んでもなくならない絆を結ぶ。
・楽彰(がくしょう)
青歌軍の第二将。宜安の戦いで蒙恬(もうてん)に、番吾の戦いで亜光に深手を負わせるほど武に長ける将軍。カン・サロやジ・アガと違い、知略も優れていると思われる描写も多い。
・ジ・アガ
青歌軍の第三将。カン・サロと狼血の契りを結び、青歌軍の中でも豪傑として知られている。ほぼ相打ちのような形であるものの糸凌に討たれる。
王翦軍のカッコよさを見せつけられる
不利な戦を強いられる王翦軍ですが、亜光・田里弥・倉央の各武将が全力で王翦将軍を守り、王翦は反撃の機を伺います。各武将の焦りや言動が、それぞれの性格を表しており、王翦に忠誠を誓っていることが伝わってきます。
桓騎(かんき)軍が野蛮な男たちの怖さを感じさせる集団であるのに対し、王翦軍は大人の魅力や余裕を感じさせる集団でした。そんな男たちが絶体絶命の中、希望を見いだし死力を尽くして戦う姿は、これまでのギャップも相まって、ただただかっこいいとしか言い表せません。
特にお気に入りは倉央です。どこか冷酷さを感じさせる王翦軍の中で、心に血が通った反応やリアクションを見せてくれる倉央の人間臭さは、最後の最後まで漢らしさに溢れていました。
糸凌との関係も羨ましくなるほど純粋で、なんとか生き残って欲しいと祈りながら読み進めてしまいました。結末は、ぜひ73巻をご確認ください。
キングダム73巻の感想と考察
ここからは、73巻の感想や考察をまとめていきます。ネタバレも含まれてしまいますので、未読の方はお気を付けください。
- 信とまったく同じ気持ちになった気がした
- 第791話:他人の戦争
- 第792話:脱出の責任
- 第793話:本物の殿
- 第794話:根を残す
- 第795話:勝つために
- 第796話:一縷の望み
- 第797話:砕け散る
- 第798話:愛する女
- 第799話:戦争の輪
- 第800話:三つの柱
- 第801話:復活の一歩
- おまけ:羌瘣はげます
信とまったく同じ気持ちになった気がした
まさかですが、王翦軍が青歌軍に負けてしまいました。勝ち筋がなくなった時点で敗走の判断を下すと覆っていた王翦将軍ですが、負けを受け入れられず、倉央に急かされるまで敗走しなかったのは衝撃でした。
72巻の終わりで倉央の頭に敗走がよぎったにも関わらず、王翦がその判断をしなかったのは、王翦の中で逆転の一手があるからに違いないと信じて読んでいたため、この結末はしばらく受け入れられませんでした。。。
個人的には、司馬尚を討って、李牧に討たれる前に敗走すると考えていたため、あのまま成すすべなく敗れてしまうのは本当に意外で、敗走を聞いた信と同じように、何が起こったか分からない、ふわふわした感覚で読み進めていました。
倉央が戦場を振り返り、これが敗走の風景かと感慨にふけるシーンも印象的で、あのシーンを読んでようやく負けを受け入れることができました。
この先、王翦軍が立てなおり、以前のような自信満々の倉央が見れることを期待しています。
第791話:他人の戦争
李牧が青歌に逃れた後、どのように司馬尚たち青歌を説得し番吾の戦いで共闘することになったかが描かれています。
ジ・アガが戦死したことを聞いた司馬尚がその日のことを思い出すのですが、熱さはもちろんありつつ、それ以上に「さすが李牧だな~」という上手い演説を聞くことができます。
この時代の歴史的背景を知っていれば、このシーンの凄さがより分かるのかなとも思いながら読んでいました。
第792話:脱出の責任
青歌軍の勢いを止めきることができず、撤退すべきと判断した倉央は、命がけで王翦将軍を逃がそうとします。
ただ、この判断が王翦将軍を第一に考えてのことではなく、糸凌が戦死したことを悟り、後を追いかける決意が最も上位にある感情であることが分かり、一気に倉央が好きになりました。
この時は、すでに瀕死の傷を負った亜光が変わりを引き受け、司馬尚に引導を渡されてしまいます。
第793話:本物の殿
今度こそ自分の番と決意する倉央ですが、同じく瀕死の傷を負った田里弥が合流します。
この時、王翦将軍が田里弥も来るように伝え、田里弥との出会いの回想まで流れます。王賁(おうほん)は王翦のことを、兵をコマとしか思っていないと評していましたが、少なくとも田里弥に対しては並々ならぬ思いがあったことが分かります。
この時の田里弥もかっこよく、王翦・倉央に対し田里弥なりの檄(げき)を飛ばし、最期は力尽きてカン・サロに討たれます。この田里弥の最後にはウルっときてしまいました。
第794話:根を残す
王翦・倉央ともに討たれるというところで、亜花錦(あかきん)が到着し難を逃れます。
亜花錦は本当に痒い所に手が届くタイプで、いつも秦軍を救う働きをしますね。なんだかんだ、終盤には将軍になってそうです。
タイトルの“根を残す”は、王翦軍が再び復活する根幹が王翦であり、王翦さえ生きていれば何とかなるという意味で、亜花錦が檄を飛ばす形で放つ言葉です。
僕には、亜花錦の言葉で王翦が復活したように見えました。これだけの犠牲を出して生き延びることができたので、王翦にはぜひもう一度花を咲かせて欲しいです。
また、倉央の敗走を振り返るシーンは、どうしようもない悲しさがありました。
第795話:勝つために
王翦将軍の敗走が全体に伝わり、秦軍の敗北が確定します。
それぞれ思うことはあれど、未来につなげるため少しでも兵を失わないように各軍が敗走していきます。
もうひと盛り上がりあると思っていたので、各キャラクターと同じような心境であまりの出来事に混乱してしまい、負けを受け入れたくありませんでした。
第796話:一縷の望み
番吾の城を落とせないことを分かっていながら、仲間を壁将軍を救うために奮戦するキタリがかっこよく、尊く感じます。
ボロボロになり、立つこともままならない壁たちが決起するシーンも素晴らしく、いかに壁が慕われているか分かります。
第797話:砕け散る
助けに行ったキタリが壁を見つけ出し、無事救出に成功します。この戦い唯一のよかったシーンであり、この2人は結ばれてほしいですね。
そして、王翦を逃がすという重要任務を達成した倉央が、糸凌の亡骸を抱きしめるため、糸凌と同じ場所に逝くため、戦場に戻る決意をします。倉央はこの戦い中ずっと、評価を上げ続けます。
第798話:愛する女
糸凌の亡骸やその一部を一目見るために、触れるために、打ち首覚悟で敵地に戻ってきた倉央。その言葉は胸にくるものがあり、少し泣いてしまいました。
当然ですが、カン・サロも最高です。ジ・アガならどうするかを考え、狼血の契りを交わした唯一無二の友人を討った糸凌を生かし、死を覚悟して乗り込んできた倉央と再び合わせるというのは、普通はというか絶対にできないであろうことをやってのけます。
第799話:戦争の輪
倉央と糸凌を再び合わせたカン・サロは、ジ・アガに礼を言えと伝え、2人をお咎めなしで帰します。想像できないほどの苦悩があるはずなのに、顔色一つ変えず、倉央の男気に応える姿は、カン・サロの懐の深さを感じました。
このシーンで青歌や倉央のファンになった人も多いと思いますし、できれば二度と刃を交えないことを祈りたいです。一方で、李牧と司馬尚の会話も象徴的で、秦軍と青歌軍が再び戦うことを示唆していました。
願望も入りますが、秦と趙(ちょう)が再び戦になる時、青歌軍は足止めされる形になり、その間に王翦が李牧を討ち、多くの青歌兵が生き残ったまま、秦に統治されると予想しておきます。
この流れで、王翦軍と青歌軍が再選することはないと信じたいです。
第800話:三つの柱
2度の大敗で30万の兵と桓騎将軍をはじめ、多くの将校を失った秦は、中華統一を諦めざるを得ない状況に陥りますが、諦めきれない秦王の嬴政(えいせい)は、昌平君(しょうへいくん)に再び中華統一を目指すための策を練るよう命じます。
秦にとっては地獄のような展開ですが、昌平君は見事期待に応え、戸籍制度の導入など三つの柱を策として完成させます。
キングダムが大好きな理由は、こうした文官たちの苦悩や戦いも丁寧に描かれているからだと改めて感じさせられました。しかも、テンポ良く進むため全体の進行を邪魔せず、一緒に中華統一の道を歩んでいるような、その世界にいるような錯覚を覚えさせてくれます。
第801話:復活の一歩
・戸籍作りによる兵の増強
・李信/蒙恬/王賁を大将軍手前まで引き上げる
・韓を滅ぼす
という三つの柱の内訳が描かれました。ずっと暗い雰囲気が続いていたので、いつもの3人の他愛ないやり取りで少し明るい気持ちになったのを覚えています。
ここからどのように中華を統一していくのか、楽しみに待ちたいと思います。
おまけ:羌瘣はげます
敗走で落ち込んでいる信を励ますために、羌瘣(きょうかい)がいじわるするおまけストーリーです。クスっと笑えるおまけで、信に年相応のかわいさを感じました。
73巻の発売日と収録話数
最後に、キングダム73巻の基本情報を見ていきましょう。
- 発売日は2024年9月19日
- 791話~801話が収録
発売日は2024年9月19日
キングダム73巻の発売日は9月19日(木)でした。
表紙には、王翦軍の面々が描かれています。

紙と電子同時発売で、僕はアプリのゼブラックで読みました。
また、扉絵には嬴政と昌平君が描かれています。

791話~801話が収録
キングダム73巻は791話~801話の全11話で構成されています。
791話では李牧と青歌の物語が描かれますが、それ以降は過去編はなく一気に物語が動いていきます。
第791話(p5~p24)
他人の戦争
第792話(p25~p44)
脱出の責任
第793話(p45~p64)
本物の殿
第794話(p65~p84)
根を残す
第795話(p85~p102)
勝つために
第796話(p103~p121)
一縷の望み
第797話(p122~p142)
砕け散る
第798話(p143~p162)
愛する女
第799話(p163~p181)
戦争の輪
第800話(p182~p202)
三つの柱
第801話(p203~p221)
復活の一歩
おまけ(p224~p225)
羌瘣はげます
キングダム73巻のあらすじと感想・考察・見どころまとめ
- これまでの振り返り
- 飛信隊の突撃に呼応して、楊端和軍も突撃を開始
- 亜光軍は李牧の罠と知りつつも突撃するが、李牧に逃げられる
- 青歌軍が進軍し王翦軍は後手の展開が続く
- 司馬尚軍を亜光軍、田里弥軍、倉央軍が追う
- 糸凌がジ・アガを倒すが、力尽きる
- 司馬尚、カン・サロ、楽彰が揃い、倉央は敗走を覚悟する
- キングダム73巻のあらすじ
- ジ・アガの死を知った司馬尚は、李牧が青歌を訪れた日を思い出す
- 青歌軍の士気が高まる
- 王翦軍はピンチが続く中、敗走するのか、逆転の一手があるのか、緊迫した状況が続く
- 番吾の戦いの後、秦は中華統一に向けた新たな準備を始める
- 主な登場人物
- 秦軍:王翦、亜光、田里弥、倉央、糸凌、亜花錦、壁、キタリ
- 青歌軍:司馬尚、カン・サロ、楽彰、ジ・アガ
- 王翦軍のカッコよさが見どころ
- 不利な状況でも反撃の機会を伺う王翦
- 各武将の焦りや言動伝わる王翦への忠誠心
- 特に倉央の人間味あふれる行動が最高
- キングダム73巻の感想と考察
- 王翦軍の敗北は相当な衝撃であり、敗走の判断を下せない王翦が物語っていた
- 第791話:李牧の演説はさすがだった
- 第792話:倉央の糸凌への想いがつらい
- 第793話:王翦の田里弥に対する思いが描かれていた
- 第794話:倉央の敗走を振り返るシーンは悲しい
- 第795話:受け入れがたい敗北の確定
- 第796話:キタリと壁の奮戦
- 第797話:キタリが壁を感動の再会!結ばれてほしい!
- 第798話:倉央とカン・サロの男気がひかる
- 第799話:秦と青歌軍が再び戦うことが示唆される
- 第800話:文官の熱い戦いもキングダムの魅力
- 第801話:戸籍や軍の再編による今後に期待
- おまけ:クスっと笑える羌瘣と信のやりとり
- 73巻の発売日と収録話数
- 発売日は2024年9月19日
- 表紙には王翦軍、扉絵には嬴政と昌平君
- 収録話は791話~801話の全11話
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